アトサヌプリ(硫黄山)Mt. Io (Atosa-nupuri)









弟子屈町の「特定自然観光資源」
「アトサヌプリ」は、アイヌ語で「裸の山」を意味します。その名の通り、山肌は木々が生えておらず、そこかしこからゴウゴウと音を立てながら噴煙が上がり、周囲には硫黄の独特の匂いが立ち込めています。地元では長年「硫黄山」の名でも親しまれてきました。かつては硫黄採掘で栄えたこの山は、採掘した硫黄を運び出すために敷設された鉄道を通して、弟子屈の町の発展の礎を築いた場所でもあります。レストハウスの展示にて、往時の様子を知ることができます。
駐車場からは、砂礫を歩いて噴気孔のすぐそばまで近づくことができます。ダイナミックな地球の鼓動をぜひ体感してみてください。
なお、アトサヌプリの噴気孔及び硫黄結晶は弟子屈町の「特定自然観光資源」に指定され、山のほとんどはエコツーリズム推進法に基づく立ち入り制限区域に指定されています。貴重な資源を踏み抜くことのないよう、ご注意ください。
※アトサヌプリを登り、この貴重な自然美を楽しむ「アトサヌプリトレッキングツアー」は、弟子屈町の認定ガイドにより特別に立ち入りが許可されています。
硫黄山DATE
・標高…508m
・種類…溶岩ドーム(活火山ランクC)
つつじヶ原自然探勝路
硫黄山の山麓には、およそ100haもの広大なエゾイソツツジの群落が広がっています。硫黄成分のために酸性化したこの土地には、限られた植物しか生えることができません。エゾイソツツジは、酸性土壌を好む北海道の固有種。厳しい環境の中でも可憐な花をつけ、毎年6月~7月にかけて川湯温泉の初夏を美しく彩ります。
このエゾイソツツジの群落を、ゆっくり歩いて散策できるのが「つつじヶ原自然探勝路」。川湯温泉の街から硫黄山まで続く、およそ2.5km(徒歩で1時間程度)の小路です。木立の間を抜け、花畑を通り、じっくりと自然に親しむことができる人気の散策路。毎年6月上旬~7月上旬の1ヶ月間は、早朝からガイドつきの散策会も行われています。
硫黄採掘の歴史
硫黄山は、その名のとおり良質な鉱山資源である硫黄の豊富な山。明治期にはマッチや火薬の原料として、また外貨獲得の手段としても注目を集めます。
この山での本格的な硫黄採掘の開始は、明治10年。釧路の網元である佐野孫右衛門が、政府の許可を受け30数人の抗夫を使って採掘を開始しました。佐野はその後3年がかりで輸送路を開拓し、明治16年には全道一の採掘量を上げるほどの一大事業へと成長を遂げます。
その後、明治20年に採掘権は安田財閥の祖、安田善次郎へと移されます。安田は釧路集置監の囚人達を使ってわずか8ヶ月で標茶までの鉄道を敷設させ、硫黄の大量輸送の道を切り開きます。この鉄道は北海道でも2番目に古いもので、沿線の近代化に貢献するとともに今日のJR釧網本線の礎を築くこととなりました。しかしこの大量輸送の実現により、硫黄資源はあっという間に枯渇し、鉄道の歴史もわずか9年で終幕。明治29年に安田は硫黄採掘事業から撤退し、採掘も中止となりました。
幻のごとく消え去った原野を走る鉄道ですが、現在でも硫黄山レストハウスの横から1.5キロほどの散策路にわずかに軌跡が残されています。散策路は両側に広葉樹が茂り、新緑のころには木々が道路を覆うように見えることから「青葉トンネル」と呼ばれています。

基本情報
- 所在地
- 北海道川上郡弟子屈町川湯
- 電話番号
- 015-483-2670(川湯観光案内所)
- 駐車場
- バイク200円 | 乗用車500円 | マイクロバス1,000円 | 大型バス2,000円
※摩周湖第一展望台との共通(消費税込)
(第3展望台は無料)
※上記料金で摩周湖第一展望台、硫黄山駐車場を1回ずつご利用いただけます。当日のみ有効。
※長さ5m以上の乗用車はマイクロバス料金の扱いになります。
※冬期間中(11月~翌年4月)は休業します。休業中も駐車可能ですが、無料開放中につき、事故・トラブル等に関する責任は一切負いかねます。