2018.01.01

 町内の名所や要所に、小さな石仏がひっそりと立っているのをご存じでしょうか。いつ誰が取り換えたのか、新しい赤い前掛けをしていることもあります。これは、釧路市にある弘法大師ゆかりの真言宗・西瑞寺の皆さんが、四国八十八カ所をしのんでまつられたもので、浄財(寄附)を拠出した人の名が刻まれています。その始まりは1925(大正14)年、四国霊場の移霊を発願し、阿寒国立公園の指定運動が高まってきた1928(昭和3)年に完成したものです。

 一番札所の西瑞寺を出発し、まりも国道沿いに阿寒湖に出、横断道路から弟子屈町を巡り、塘路を経て釧路に至るもので、88体の石仏があります。町内には和琴、屈斜路、池の湯、仁伏、川湯、美留和、弟子屈と、ほとんど全町域に点在し、合わせて58 体も安置されています。

 現在では、国立公園内の工事や道路工事などの関係で最初の場所から移されたり、守りをする都合で幾体かを1カ所に集めたりして、かなり変動しているようです。

 ススキの穂が風に揺れ、紅葉始まる10月上旬、今でも釧路の信者がお参りをしています。80余年のときを刻み、風雪に耐え、名勝に立つこの石仏を、わたしたち町民も大切にしたいものです。

てしかが郷土研究会(蜂谷)