2018.01.01

 てしかが郷土研究会では、国立環境研究所が行っている摩周湖調査に、20年ほど地元として支援をしていますが、その調査結果から見えてきた透明度の姿を紹介します。

 透明度とは、直径30cmの白い円板を船上から下ろし、白い板が見えなくなり再度引き上げ見えた位置がその値になります。非常に簡単で誰にでもできる測定ですが、水質を知る指標として大切なものになります。

 摩周湖が83年前に透明度41.6mを記録し世界一になったことは承知のことですが、その後は概ね25m前後で推移しているといわれています。一般的に透明度はプランクトンの影響を受けることが知られていますが、摩周湖においてもプランクトンの増減と透明度の関係性があることが分かりました。春に水温が上昇し始めると植物プランクが繁殖し、それを捕食する動物プランクトンも増えていきます。8月ころにプランクトンの数がピークとなり、水温が下がると徐々に減少していきます。プランクトンの増減と連動するように、8月はプランクトンの増加により透明度は下がり、冬に向かって上がっていきます。2012年8月の透明度は17m、2013年1月は 26.5mと、半年で10m近い変動をしているのです。森の表情が夏と冬で異なるように、湖の中も季節によりダイナミックに変化しているのです。

 摩周湖の水は澄んでいるため、外から異物が入ると検出されることがあります。一例として、日本では使用していない成分が摩周湖から検出されたことがあり、他国から大気によって運ばれて来たと考えられます。その意味で摩周湖は、地球の環境を知る高度なセンサーといえます。

 摩周湖は研究機関により、目では確認できない世界の分析が行われ、透明度の原因を探っていますが、現在の最先端の科学をもってしても、明確に見えない何かが 摩周湖には潜んでいるのです。

てしかが郷土研究会(藤江)