2018.01.01

 2月初旬、屈斜路湖は全面氷結しました。岸から凍り始めた湖面は少しずつ範囲を広げ、2週間ほどかけて全体を覆い尽くしました。その間、まとまった雪が降ることもなかったので、不純物の混じらない透明な氷の出現があちこちで確認でき、多くの人たちの目を楽しませてくれたようです。

 凍った展斜路湖は、日常生活の思い出話にも事欠きません。

「昔は車だって走っていたんだぞ」

「(湖畔の集落)コタンで暮らす子どもたちは対岸にある学校へ行くのに、湖を横切ればよくなるわけさ。大人たちが旗を立ててよ、歩く目印を作ったもんだ」

「池の湯に行くときはソリに荷物を載せて引っ張っていったんだども、間に氷の山ができることがあってな。これが大儀なんだわ。いちいち荷物を降ろしては氷の山を越えて、またソリに積んで…を繰り返さなきゃならんし」

 今は氷が薄くなって上に来るのが怖くなったし、そもそも上に来る必要がない便利な時代になった…と笑いつつも、当時を鮮明に振り返る長老の言葉の端々には、どこか懐かしさがにじんで聞こえます。季節が一巡するたびに、日々の何気ない出来事も積み重ねられ、歴史となって刻まれてきました。

そしてもうすぐ、水を解かす春がやってきます。

てしかが郷土研究会(斎藤)