2018.01.01
歴史写真館NO.105 身近な春 郷土の自然
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今年12月4日に、阿寒国立公園は指定80周年を迎えます。80周年を節目として「郷土の自然」の視点から、12回にわたり季節に応じた旬な自然を紹介していきます。
第1回目はミズバショウです。弟子屈は山に囲まれていますが、その地形から湧水が豊富な場所になります。湧水は豊かな水環境を育み、生命に潤いをもたらしています。
ミズバショウと聞くと、多くの人が尾瀬の風景を歌った「夏の思い出」(作詞・江間章子)を思い浮かべると思います。その歌詞から、夏のミズバショウ、そして尾瀬という高原のイメージがあります。
弟子屈でミズバショウが咲くのは4月中旬から5月中旬。湿地を好む植物なので、多くの場所で目にすることができます。一番の大群落は川湯の跡佐川に見られ、雪解けが進むと最初に緑の葉を出し、白い苞(ほう)の内側に棒状の花を付けます。花弁のように見える白い苞の部分は、昆虫に花の受粉をしてもらうためのミズバショウの工夫と考えられています。跡佐川のミズバショウ開花の時期には、ヤチボウズも新芽を出し、一層、春の訪れを感じさせてくれます。川の周辺にはシラカンバ・アカエゾマツなどの樹木が生育し、春の目覚めの準備をします。ミズバショウと森の時間が流れる自然環境が温泉街と隣接していることが、川湯の特徴の一つなのです。
弟子屈の湿地ではよく見られるミズバショウなので、雪が融けて少し土の匂いがする季節、身近な春をゆっくりと楽しみたいものです。
てしかが郷土研究会(藤江)