2018.01.01

 2006(平成18)年に観光立国推進基本法が成立し、2008(平成20)年には観光庁が設立され、最近では地方創世なるものが報道されている。これを我田引水的に解釈すると、地方で観光産業を展開すると、きっと良いことがあると思える。国が産業の舵を切ると、経済の流れが大きく変わる。

 人口の流出による減少や高齢化による人口動態と、ネット社会による情報・流通が大きく変化した近年であるが、80年前には想像し得なかった日本の社会が生まれている。12月4日に阿寒国立公園は指定80周年を迎えるが、国立公園に指定されるまでの努力や社会が一つの目標に向かい沸き立っていた時代から、高度成長期を経てバブルの終焉(しゅうえん)、そして今は多様で個性的な時代となった。社会情勢や価値観がこれほど変化すると、観光に求められる質も変化する。フィールドの価値を再認識して、時代に合った新たな価値を生み出すことが必要とされている時代だ。

 先般『阿寒国立公園指定80周年記念式典・祝賀交流会』が行われ、姉妹都市・鹿児島県日置市との祝賀会に参加したときのことであるが「私の考えた造語だが、これからは温故創新の時代です」と話していた方がいた。「古きを訪ね新しきを知る“温故知新”ではないですか」と聞き直すと「創は創造の創で、今までのことにとらわれないで、新たな創造をすることが大切なのです」と話していた。地域文化は異なるが、時代の風を感じることはそれぞれ同じであると思えた。

 阿寒国立公園指定80周年を記念し、地域として阿寒国立公園の自然を保護すべき場所や、経済活動を支える利用などの将来像を描くよい機会である。これからの国立公園を創っていくのはそこに住む人であり、文化を尊重し地域に座すこだわり、そしてプライドではないだろうか。

てしかが郷土研究会(藤江)