2018.01.01

 農耕や木材の搬出、生乳の運搬など、馬と共に生活をする時代がありましたが、 機械化によりトラクターや車などにその役目が移り、日常生活で馬との関わりは少なくなりました。現在は、生産事業や観光の新たな付加価値、ホースセラピーなどを展開する時代です。

 暴風により公園内の森の木がなぎ倒され、散策路の歩行が不可能になり、車や重機が入れないため倒木処理ができない状況が発生しました。人力でも難しいために馬で搬出することを検討し、搬出作業の馬を探しましたが見当たりません。川湯の馬主さんに相談したところ「昔は馬搬をしたことはあったが、今の馬は搬出作業をしたことがないので、どのようになるか分からない」という返事でした。再度、馬以外の搬出作業はできない説明をしたところ作業の運びとなり、作業当日を迎えましたが、馬は慣れない場所に来ると、落ち着きがなく好奇心と警戒心が混ざった仕草をします。知らない場所で森の中に入り、やぶこぎをして倒木を搬出することは、馬自身に戸惑いがあるように見えましたが、次第に慣れ搬出が進み、2日で作業を終えました。作業後の散策路は、倒木の搬出が整地作業と同じような効果を生み、凹凸がなくなり歩きやすい道となり、馬による搬出作業は自然散策路にやさしい結果となりました。

 9月に第6回摩周湖ばん馬大会が地域が中心となり開催されますが、馬が数百キロの重りを乗せたそりを引く姿は圧巻です。祭りは文化の象徴であり、長い時間をかけて伝えられ、人と馬との関わりが強かった時代の知恵は、ばん馬大会に引き継がれています。北海道の馬の歴史を思いながら、秋の一日をばん馬大会で過ごすのも良いものです。

てしかが郷土研究会(藤江)