2018.01.01

 4月から新年度が始まり、学生は進級・新社会人と新たな旅立ちの季節です。

 てしかがの蔵には、故・種市佐改氏による「旅と観光コレクション」のコーナーがあります。種市氏は1923(大正12)年、釧路生まれ。国鉄(現JR)に勤務し、退職後は釧路観光連盟の事務局長を務め「丹頂・白鳥・流水」の三白観光を提唱して実践しました。1989(平成元)年には釧路摩圏周観光文化センターの観光資料室長に着任し、地域の文化活動や観光に尽力。収集した貴重な資料が、蔵に展示されています。

 展示には鉄道関係の資料が多くありますが、昔、弟子屈駅(現摩周駅)に設置されていた普通旅客運賃表には、弟子屈から釧路まで440円とあります。当時の弟子屈駅は、窓口で駅員さんから硬い切符(硬券)を買い、改札で切符にはさみを入れてもらってホームに向かうのですが、郷愁とは別に、今とは違う時間が流れていたように思います。それは、駅周辺は蒸気機関の石炭の匂いと製材所から発する木の香りがして、何より人の動きが活発な時代だったからかもしれません。

 昔の時間と今の時間、弟子屈の時間と都会の時間は、それぞれスピード感は異なりますが、時間という基軸に変わりはありません。昔のことに教わり、未来志向の時間を想像する新たな季節にしたいものです。

 

〜4 月から新天地へ向かうそ者たちへ

「君たちの誇れる町に思いを抱きつつ、新天地で頑張ってほしい。そして、 たまにはふるさとに帰って来て、一緒においしい酒でも飲もうではないか」などと思いながら、この地で暮らす親たちはいつも待っているのです。

てしかが郷土研究会(藤江)