2018.01.01

 摩周山麓に約687町歩(約677ヘクタール・1951(昭和26)年資料)という広大 な敷地を持った釧路拓殖実習場のことは、以前にも紹介しました。北海道立の拓殖実習場は、北海道の気候風土に適した農業開拓を学ぶために、1932 (昭和7)年から十勝、北見、釧路、天塩、根室と、順に開設されていきました。

 絵は『北海道立拓殖実習場要覧−昭和26年刊行』にある、釧路拓殖実習場の俯瞰図です。摩周湖へ登る途中から見下ろした眺めで、中央に庁舎があり、周りに実習施設やグラウンドがあって、その外側に開拓農地が描かれています。

 実習場で学ぶためには「身体強健、志操堅固で北海道開拓に熱意を有し…。年齢二十歳以上三十歳未満…。できるだけ農家の二、三男で分家すると云う者が望ましい」という資格が審査されました。実習は普通科1年。希望者の中から選考されて、さらに1年間の研究科で学びました。釧路拓殖実習場を卒業した生徒は、弟子屈の開拓地や根釧原野、道内各地の原野開拓に向かったのです。

 しかし、入植を計画された開拓地は、気候が冷涼で土壌も火山灰、重粘土、 泥炭地と農業経営には決して好ましい条件ではありませんでした。

てしかが郷土研究会(松橋)