2018.01.01

 弟子屈市街では、温泉旅館のお風呂でもらい湯をしたり、温泉の共同浴場が ありましたが、市街地から離れた開拓地では、五衛門風呂が一日の疲れと体の汚れを取ってくれました。

 五衛門風呂の名前は、安土桃山時代の盗賊・石川五衛門が釜ゆでで処刑されたことからといわれ、あまりいい気持ちのするものでありません。

 鉄製や鋳鉄製でてきた釜をレンガや石で囲い、下の焚口(たきぐち)で薪(ま き)を燃やして水を温めます。スノコが浮かんでいて、足で沈めながらお湯につ かります。体を洗うところは、釜の外の一段低い場所に作ってある洗い場です。

 「いい湯加減」「お風呂を点(た)てる」「お風呂をごちそうになる」などの言葉があります。水を運び、薪を割り、水を温める。入浴中はつきっきりで火力を調整する、などの作業は大変な仕事で、お風呂を用意してくれた人への感謝の気持ちがこもった言葉です。それぞれの家に風呂があり、ボイラーなどで沸かしたお湯が蛇口から出てくる今では、あまり聞くことがなくなった言葉です。

てしかが郷土研究会(松橋)